豊胸手術には、大きく分けると以下の4つの方法があります。
・脂肪注入
・シリコンバッグ挿入
・ハイブリッド豊胸
今回は、この中からシリコンバッグ挿入による豊胸手術の特徴やどんなメリット・デメリットがあるのかといった点について詳しく解説していきます。
加えて、シリコンバッグ挿入の手術後のダウンタイムや痛みなどについても併せてご紹介していきます。豊胸手術を検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
シリコンバッグ挿入による豊胸手術の特徴と種類
シリコンバッグ挿入による豊胸手術は、文字通りシリコンバッグを胸に挿入することで理想的なバストの大きさや形を実現できる方法です。
シリコンバッグ挿入による豊胸手術が向いているのは、以下のようなお悩みを持っている方が挙げられます。
・2サイズ以上大きくしたい
・谷間をつくりたい
・弛んだバストの形を整えたい
・何度も豊胸手術を受けるのは避けたい
シリコンバッグを胸に挿入してバストアップを図る豊胸手術
手術に使用するシリコンバッグにはさまざまな種類があります。サイズや形状はもちろんバッグの内容物などにも違いがありますが、基本的には柔らかくて安全性の高いシリコンバッグが主流です。
ほとんどの場合、美容クリニックでは複数の種類のシリコンバッグを用意しているため、事前にカウンセリングを行なって患者様の希望に沿ったシリコンバッグを使用します。
バッグの種類のみならず、シリコンバッグ挿入方法などにもいくつか種類があるため、それぞれどのような特徴があるのか確認していきましょう。
シリコンバッグの中身にはシリコンジェルと生理食塩水の2タイプがある
シリコンバッグに使用される内容物は、大きく分けてシリコンジェルと生理食塩水の2タイプがあり、それぞれに異なる特徴があります。
シリコンジェルを使用したシリコンバッグは、1人ひとりの胸の形や構造に併せて自然なバストアップを実現でき、生理食塩水を使用したシリコンバッグは、万が一漏えいした際に身体へのリスクが少ないですが感触が硬くなりやすいです。
以前は、シリコンバッグの内容物が漏れた場合に炎症を引き起こすなどのリスクがありましたが、近年ではシリコンバッグ自体の製造技術が向上してシリコンバッグの安全性が上がったためシリコンジェルが内容物のシリコンバッグが主流となっています。
シリコンバッグの形状は大きく分けて2種類
患者様によってバストの形や大きさが異なるため、1人ひとりのバストに合ったシリコンバッグを使用しないと歪んだり違和感の原因になりかねません。
そのためシリコンバッグ挿入では、その人に最適なシリコンバッグを選択することが重要になりますが、シリコンバッグの形状は大きく分けて以下の2種類があります。
・アナトミカルタイプ
ラウンドタイプは、丸みがあってお椀型をしたシリコンバッグのことで、身体の動作に対する順応性が高く横になった際の広がりが自然です。
アナトミカルタイプは、しずく型をしたシリコンバッグのことで、立った時の自然な乳腺と同じ形に作られている点が特徴となっています。
しかし、最近ではシリコンバッグの製造技術が改良され、安全性の高い柔らかいシリコンバッグが製造されているので、ラウンドタイプでも立った時に自然な乳腺と同じ形になるのでラウンドタイプが主流となっています。
シリコンバッグを入れるための傷の位置は主に3種類
シリコンバッグを挿入するためにはシリコンバッグを挿入するための傷を皮膚につけなければなりませんが、この傷の位置は主に3ヶ所となります。
・乳房下縁
・乳輪周囲
図ではそれぞれのアプローチでどの位置を切開するか図示しています。この3ヶ所の中で乳輪周囲切開は感染症などの合併症の多さから近年ではあまり使われなくなったアプローチ方法ですので、ここでは現在の主流である脇の下、乳房下縁について説明していきます。
脇の下からのアプローチ(腋窩切開)の最大のメリットは、脇を閉じていれば裸になっても傷が見えることがないことです。また、傷も脇のシワの一つとして馴染んでくることがほとんどです。
デメリットとしては、腕の付け根に傷ができるので腕を動かし際の痛みが長引きやすいこと、ノースリーブなど脇の見える服をきて手を挙げるとお傷が見えてしまうことです。
乳房下縁アプローチ(乳房下縁切開)のメリットは術後の痛みが少ないことです。また、服や下着をつけていれば傷を隠せますのでノースリーブなど脇の出る服でも安心して着れることでしょう。
デメリットとしては、乳房の下に隠れるとは言っても体の正面に傷が残ってしまうこと、特に裸になった時に傷が隠せないことが挙げられます。
シリコンバッグを入れる深さは大きく分けて4種類
お胸にはご自身の乳腺の他に大胸筋という筋肉があり、これらとの深さの関係も4つほど種類があります。
・大胸筋膜下法
・大胸筋下法
・デュアルプレーン法
図ではそれぞれの方法がどの深さにシリコンバッグ挿入をしているのかを示しています。
乳腺下法はその名の通り、乳腺の下にシリコンバッグを挿入する方法です。筋肉の上にバッグが挿入されるので比較的痛みが少なく、出血も少ないのが特徴です。
大胸筋膜下法とは大胸筋膜という筋肉を包んでいる膜の下にシリコンバッグを挿入する方法ですが、痛みや出血のリスクが高くなってしまうことがデメリットです。
大胸筋下法は筋肉の下にシリコンバッグを挿入する方法ですが、筋肉がシリコンバッグに与える影響が大きいため最近ではデュアルプレーン法という方法が主流になっている印象です。
デュアルプレーン法は一部を筋肉の下に、一部を筋肉の上に入れる方法となり、筋肉でバッグの一部をカバーできるので痩せて脂肪の少ない方でもバッグの縁を目立たせずにシリコンバッグ豊胸できることがメリットとなっています。
シリコンバッグ挿入による豊胸手術のメリット・デメリット
冒頭でもお話した通り、豊胸手術にはシリコンバッグ挿入以外にもヒアルロン酸注入や脂肪注入、ハイブリッド豊胸といったさまざまな方法があります。
それぞれの豊胸手術の特徴などを見比べたり医師に相談したりして、自分に合った豊胸手術を選択することが大切です。
そこでここからは、シリコンバッグ挿入による豊胸手術には、どのようなメリット・デメリットがあるのかという点についてお話していきます。
シリコンバッグ挿入のメリットとは?
まずは、シリコンバッグ挿入のメリットにどういったものが挙げられるのかまとめてみました。
・体型に関係なくバストアップ効果が期待できる
・効果が半永久的なため何度も手術をする必要がない
シリコンバッグ挿入であれば、今よりも2cup
・3cup以上胸を大きくしたい場合にも対応することができます。
また脂肪注入の場合、元々脂肪が少ない方だとバストアップが難しくなりますが、シリコンバッグ挿入であればご自身の体の一部を胸に移植する訳ではないので体型に関係なくバストアップを実現できます。トラブルが起きなければシリコンバッグは生涯入れておくことも可能であるため半永久的な効果が見込めることも特徴です。
シリコンバッグ挿入のデメリットとは?
続いてシリコンバッグ挿入のデメリットに関しては、以下のようなものが挙げられます。
・マッサージが必要
・定期的な検診を受けた方がよい
挿入するシリコンバッグの種類によっては形や感触が不自然になる場合がありますが、最近のシリコンバッグは形状やサイズなど種類が豊富で質も向上しているため、一昔前と比べると仕上がりが自然ですが、特に痩せている方だとシリコンバッグの縁が見えたり触れたりしてしまうリスクがあります。
またシリコンバッグを使った豊胸の場合、被膜拘縮と言ってシリコンバッグを包む被膜が段々と固くなってしまうことがあります。この被膜拘縮はマッサージである程度予防できるので、マッサージを続けていただくことが大事になってきます。
近年ではシリコンバッグの製造技術が向上していますが、後に書くようにシリコンバッグは破損する可能性があります。また、日本美容外科学会からも勧告が出ているように、非常に稀ですがBIA-ALCLという悪性リンパ腫を発症する可能性があるため定期的な検査が受けることが望ましいです。
実際には、定期的に乳がん検診を受ける方が多いと思いますので“定期的な検査”がデメリットとなることは少ないのが実際のところかと思います。
シリコンバッグ挿入による豊胸手術のダウンタイムや痛みについて
ここからは、ダウンタイムの期間や症状に加えて、ダウンタイム中の過ごし方や手術後の痛みの程度などについてご紹介していきます。
豊胸手術を検討されている方も悩んでいる方も参考にしてください。
ダウンタイムの期間や症状、過ごし方の注意点
ダウンタイムの症状には個人差がありますが、一般的な症状としては胸の腫れや痛み・むくみ・痒み・違和感などが挙げられ、術後2週間程度続くことが多いです。特に術後2〜3日は、症状が強く出るためまとまった休みを確保しておいたほうが安心できます。
痛みに関しても他の豊胸手術と比較して強いですが、手術方法によって痛みも変わってきます。
大胸筋下(デュアルプレーン含)と乳腺下では大胸筋下の方が、乳房下縁切開と腋窩切開では腋窩切開の方が痛みが強い傾向にあります。
挿入したシリコンバッグがずれないように1週間ほどはバストバンドを装着する必要もあります。また1週間ほどで抜糸となりますが、その期間はシャワーのみで入浴はできません。
術後1週間後〜1ヶ月の間はワイヤーブラジャーなどの締め付けの強いものを避けて着用をしていただきます。1ヶ月が経過したらカプセル拘縮を予防するためにバストのマッサージをしていただきます。バストのマッサージについては動画にてわかりやすく説明させていただいております。
また、シリコンバッグを挿入する際の切開の傷跡は半年から1年ほどかけて少しずつ目立たなくなっていきます。
豊胸手術を受けたあとの痛みの程度はどれくらい?
ヒアルロン酸注入や脂肪注入といった豊胸手術は、注射器を使って手術をするため胸への負担が少なく注入箇所のダウンタイムは軽減されますが、シリコンバッグ挿入の場合は挿入箇所に強い痛みが生じます。
痛みの程度は、挿入するシリコンバッグのサイズ・挿入箇所・体質などによって差がありますが、痛み止めを内服することで乗り越えることができますので、痛み止めを処方してもらうなどするといいでしょう。また、痛みの悪化を防ぐためにも術後は激しい運動や動き回ったりすることを控えると良いです。
シリコンバッグには寿命がある?不具合が生じたときの対処法
シリコンバッグ挿入による豊胸手術は半永久的なバストアップ効果が期待できますが、シリコンバッグは長期的に見てトラブルが起きることがあります。
ここからは、シリコンバッグ挿入による長期的なトラブルによって不具合が生じたときの対処法について確認していきましょう。
シリコンバッグの寿命の目安は10年?
「シリコンバッグの寿命の目安は10年」と言う話を耳にすることがあるかと思いますが、これは少し間違っています。
あくまで「10年間の経過を見た」研究結果があるのみで寿命が何年と決まっているわけではありません。
正確にはシリコンバッグ挿入をしてから3年を超えたあたりからシリコンバッグ破損の確率が徐々に上がってくる、と言われています。このため、FDA(アメリカ食品医薬品局)はシリコンバッグ挿入3年後から2年毎にMRIでの検診を受けることを勧めています。
長期的に起こり得るトラブルとその対処法
シリコンバッグ挿入で長期的に起こりえる合併症としては被膜拘縮、シリコンバッグの破損、BIA-ALCL(悪性リンパ腫の一種)などが挙げられます。いずれも左右差や形が変形して自覚されることが多いですが、シリコンバッグの破損、BIA-ALCLは自覚される症状がなく発生している場合もあるので定期的な検診が重要です。
万が一トラブルが起こった場合は、挿入したシリコンバッグを除去し、新しいものに入れ替えるといった方法で対処することが多いですが、他にもシリコンバッグの代わりに脂肪注入やヒアルロン酸注入を行うケースもあります。
豊胸手術「シリコンバッグ挿入」の特徴と痛み・ダウンタイムまとめ
「シリコンバッグ挿入」は、胸にシリコンバッグを挿入することで理想的な大きさ・形に整える豊胸手術で、2cup以上のバストアップや半永久的な効果が期待できる点がメリットです。
一方で、シリコンバッグ自体にトラブルが生じることがある点はデメリットといえます。
アマソラクリニックでは、事前にシリコンバッグ挿入の説明や痛みやダウンタイムなど不安要素を取り除くためにカウンセリングを行なっております。シリコンバッグ挿入による豊胸手術を検討している方は、お気軽にご相談ください。