目を「外側に」大きくする手術として、選択肢に上がるのは目尻切開。ですが、当院では「タレ目尻切開」というメニューがあります。
しばしばカウンセリングで「どっちが良いですか?」と聞かれるこの手術。
今回は、この二つの手術について掘り下げて解説していきます。参考にしてみてください。
はじめに:手術のコンセプト
手術を理解するのにまず大事なことは、「コンセプト」です。
なぜ目尻切開をするのか?と言いますと、、、
「目を外側に広げる!」ためです。
眼球の大きさというものは個人によってそこまで変わりませんが、その反面、「眼球がどの程度、皮膚に隠されているか」は個人差があります。
なので、瞼の外側で、「皮膚が眼球を隠している部位を切って広げてしまおう」というのが目尻切開のコンセプト。が、ここで問題になってくることもいくつかあるのです。
大前提として、目尻切開で大きな変化を出すには、元の目の状態と、術式の選択が重要である、と覚えておきましょう。
目尻切開の適応とは!?
手術の「適応」という言葉があります。
これは、「手術を行なっても良い、手術で効果が出る」という意味で、美容外科に限らず、医師が内服薬や治療法を決定するときに使う言葉です。
ここで目尻切開の適応を考えてみましょう。これは通常の目尻切開、垂れ目尻切開共通の事項と考えてください。
①目尻切開向きの方
目尻を外側に引っ張ったときに、隠れている白目が出てくるタイプの人は「切りしろ」があります。
②目尻切開が向かない方
逆に、目尻を引っ張ったときに、すぐに白目が終わってしまい、眼瞼結膜(赤いところ)が出てきてしまうタイプは「あまり切りしろがない」すなわち変化に乏しくなると考えてください。
また大前提として。。。
「正面から見たとき、目尻が見えていない人」は変化が出しにくいです!
これはよく考えたら当たり前で、見えてない目尻をどんなに切っても変化は見えないわけです。
往々にしてそれらの方々は、瞼が厚いことが多いので、、眉下切開などの上瞼の術式でまず目尻を見せることからスタートです。
そしてチェックポイントとして、いずれの術式であっても、
①どのくらい変化を出せるのか
②後戻りしないのか
③目尻がパカパカにならないか
この3つの観点から考えてみましょう。
目尻切開
まずは(通常の)目尻切開についてお話ししましょう。
目尻側の皮膚を少し切開し、目を「外側に」大きくする手術です。
上のチェックポイントに準じて、ナンバリングしながらお話ししていきましょう。
①変化量
術式としては非常にシンプルです。が、「目を真横に引っ張っている」という都合上、目があまり大きくならなそう、、というのは伝わりますでしょうか。
当たり前なのですが、そもそも目尻切開は、(よく似た名前の)目頭切開と異なり、「皮膚が目元に被っている」訳ではないので、目頭切開ほど劇的な変化を期待できないのが弱点です。
またイラスト上では外側にまぶたを切っているように見えて、立体的に考えると「奥に切っている」ので、正面から見た時の変化に乏しいというデメリットがあります。そう、眼球及び瞼は立体構造なのです。
②後戻り
後戻りは必発と考えてください。これは複数の理由が考えられますが、、、
単純に、傷が縮みながら治っていく過程で、水かきのような形に目尻が変化していく、と考えるとわかりやすいでしょう。
じゃあ予め大きく切っておけばいいじゃない、と思ってしまいがちなのですが、切すぎると以下③の合併症を起こす可能性があります。
③合併症
切りすぎると、目尻側の粘膜が丸見えになり、いわゆる「パカパカした」状態になりますので注意です。これは、上の項目の「目尻切開が向かない人」の、指で引っ張った状態がイメージしやすいでしょう。
また、切りすぎたときに目尻が縦方向の、四角い目尻になってしまうことがあります。これは切りすぎが原因とも言えるし、後戻りが原因とも言えます。
目尻切開特有の合併症として、「結膜浮腫」というものがあります。
術後、白目の部分がブヨブヨとゼリー状に腫れてしまうものです。基本的には自然に改善していきます。強く出ると少し目立ち、コンタクトがつけづらくなることがありますので、ご注意ください。
リスク:イメージ違い、目尻が赤く見える、感染など
料金:当院HP参照
タレ目尻切開
続いてタレ目尻切開です。これは上記を改良した術式です。2016年 韓国のChae医師が発表した方法が代表的です(これは過去の記事でも書きましたね)。
下瞼の皮膚を切除し、靭帯を一部切離/固定し直す作業を行います。基本的には改良された術式なので、通常の目尻切開よりはメリットが大きいと考えています。
当院では基本的にこちらの術式をお勧めすることが多いです。
以下、同様に評価していきましょう。
①変化量
上記、通常の目尻切開に比べ変化が大きく、しっかりと目を大きくできます。これは皮膚の切除によるところも大きいと考えてください。
また、しっかりと切っても目尻側の形が自然です(同様の術式を発表した論文でも、目尻のシャープさが維持されるのがメリット、と記載されています。)。
②後戻り
残念ながら後戻りは必ず起こります、、が、上記通常の目尻切開よりはかなりマイルドな後戻り量です。
おそらくこれは靭帯固定によるところが大きいです。端的に言えば、「強固な靭帯固定を行う」ことが変化、後戻りともに影響を与えています。
③合併症
合併症に関しては、実は通常の目尻切開とあまり変わりません。
切り過ぎた際の「パカパカ」感は避けられないので、切り過ぎないことが重要です。結膜浮腫も起こります。
注意点として、名称が「タレ目尻切開」なので誤解されている方も多いのですが、いわゆる「たぬき顔」のようなタレ目を作るというよりは、「目を外側、下側に拡大する」手術というのが正確です。
この変化を求める場合は「タレ目形成:グラマラスライン」を検討します。
(執刀:塩崎)
リスク:イメージ違い、目尻が赤く見える、感染など
料金:当院HP参照
(執刀:塩崎)
リスク:イメージ違い、目尻が赤く見える、感染など
料金:当院HP参照
しっかりと変化が出ているのがわかりますでしょうか。
先ほども書いたように、当院では目尻切開を希望する方の場合には、基本的には調整がしやすく、後戻りしにくいタレ目尻切開をお勧めすることが多いです。
強いていうならば、吊り目の感じが好き、変化がほとんどなくても構わない、という希望ならば通常の目尻切開を検討しても良いかもしれませんね。
目尻切開とタレ目切開比較まとめ
いかがでしたでしょうか。
「目尻切開」「タレ目尻切開」の違い、手術の適応についてわかりましたか?
もちろん手術、カウンセリングの際にはここでは書いていない情報がたくさんあります。気になったら、一度カウンセリングに来ていただけると嬉しいです。