目頭切開。美容外科としては基本中の基本の手術です。
反面、その効果をきっちり発揮するのはなかなか難しい手技のひとつでしょう。
なんとなく、二重整形をするときに、勧められるがままに一緒にやった方もいるかも知れませんね。
とは言え、小規模とは言え切開手術。きちんと準備して臨むのがいいでしょう。
そもそも目頭切開って何?期待される効果は?
目頭切開とは、目の内側にある「蒙古襞(モウコヒダ)」というものを切る手術です。
「と言われましても、、、」という感じでしょうか。
「蒙古」というだけあり、蒙古壁は我々東洋人の目の内側にある特徴的な構造です。鏡をよく見ると、目頭に縦方向に皮膚がカーテンのように張っているのがわかるでしょう。
あるいは職場や学校に外国人(いわゆる白人の方々)の方がいらっしゃるなら、目頭のあたりに注目してみましょう。きっと、内側の赤い部分(涙丘)がよく見えて驚くかも知れませんね。
白人の女性の目。
蒙古襞がなく、涙丘がよく見えますね。
が、東洋人でここまで切り込むとややおかしい。この辺は後述。
さて、目頭切開の効果としては、
1.目を内側に大きくする
2.末広型の二重瞼を平行型にする/内側の二重幅を広げる
3.目の間の距離を近づける
などが挙げられます。
単純に目が大きくなり、二重の幅を広げられるなら良い手術ですね!
ちなみに最後に挙げた「目の間の距離を近づける」というのは半分正解で半分不正解。患者さんから「〇〇クリニックで、『君は目の間が●ミリだから目頭切開はできない』と言われました、、、」なんて話を聞きますが、これは大きな間違いです。
目を寄せるのではなく、目の形を変えるのが目頭切開。
このあたりの塩梅は難しいので、実際に診察をさせていただいて判断したいところです。
リスク:傷跡、感染、イメージ違いなど
料金:当院HP参照
わかりやすい目頭切開の効果。目が内側に切れ込んだのがわかるでしょう。
また、「目をあまり寄せずに目の内側を大きくしたい」というのも可能です。
目頭切開の術式色々
さて、目頭切開の術式は複数あります。
おそらく今行われているのは以下の3種類がメインでしょう。
以下、簡単に説明していきます。
1.Z法
おそらく、現在の美容外科ではこれが1番多いのではないでしょうか?
Z法成術という、形成外科の基本テクニックを用いて皮膚を入れ替えていきます。
術中の調整もしやすく、後戻りも少ないので有用な方法です。
何より「狙った通りのデザインにしやすい」というのが私としては1番の魅力かなと思っています。また、本当に気に入らなかった場合には術後に「元に戻す」ことも可能です。
当院でも、特別な理由がない限りこの術式で目頭切開を行っています。
2.W法(内田法)
W法はW型に目の内側を切り、皮膚を前進させていく方法で、意外と保険の形成外科の先生がやっているイメージです。(美容目的以外にも目頭切開に準ずる術式をすることがあるのです)
こちらも術中調整は比較的やりやすく、良い方法なのですが、やや手技が煩雑、皮膚切除を伴うので元に戻すのが難しい、傷が大きくなるなどのデメリットがあります。
しかし、W法でないと大きく変化を出せない方もいますので、方法としてできた方が良い手技ではありますね。
3.リドレープ法
リドレープ法は韓国式目頭切開とも言われます。
一時ものすごく流行りましたが、最近はあまり聞かない気がします。
最大のメリットは傷口が正面から見えないことでしょう。反面、変化に乏しいというのが欠点です。結構修正希望の方(切りが足りない)が多いイメージですね。
ただし、傷が見えないというのは大きなメリット。
失敗の最大の原因は「やりすぎ」
誤解を恐れずに言えば、目頭切開自体は非常に簡単な術式ですが、「他院の目頭切開で失敗しました。。」という問い合わせはしょっちゅうあります。
ここで断言してしまうと、目頭切開が望まない結果になってしまうのは、ほとんどが「切りすぎ」です。
そして残りの半分はデザインのミス。
目頭を切りすぎた結果どうなるかというと、、、
1.クチバシ目頭
2.丸目頭
こんな感じになります。(ちなみに、これは元の目の形にもよります。)
※「丸目頭」の例。
東洋人のお顔で目頭がグッと切れ込んでしまうと、やや異様な雰囲気になります。「クチバシ目頭」は、上の方に貼り付けた白人女性の目のイメージが近いです。
(参考)切りすぎた目頭を戻すには。。?
結構多い相談です。
手術直後であれば「待ってみる」ことです。術式によっては少し後戻りしますからね。
ちなみに、本当の手術直後(抜糸前後)は「物足りなく」感じるのが普通じゃないかと思います。
これは目頭が一時的に腫れて、目頭のシャープさがあまり感じられないことが多いから。
その上で、切りすぎた目頭を元に戻すには、、?
「蒙古襞形成(もうこひだけいせい)」という手術を行います。
基本的には、上記の「Z形成」を逆方向に行うことで蒙古襞を再建します。
結果的に2回切ることになり、傷を2回つけるので、少しコントロールが難しくなります。できることならば1回の手術で決めてしまいたいところですね。
リスク:傷跡、感染、イメージ違いなど
料金:当院HP参照
術後1週間なので、さすがに傷が目立ちます。蒙古襞が元に戻ったのがわかるでしょう。
目頭切開まとめ
色々と語ってきましたが、、
最大のアドバイスは「きちんと形成外科専門医の施術を受けましょう」となります(笑)
これはなぜかというと、、目頭切開は基本的には「局所皮弁」という形成外科的手術であって、正確なデザイン、正確な縫合ができないとお話にならないわけですね。
先ほど「非常に簡単な術式」と言いましたが、それは形成外科医にとって、というお話。決して「埋没法のオプション」として勧められて、考えなしにやる術式ではありません。
例えば、デザインひとつで、傷跡の残り方も変わってきます。
「え、傷跡って縫い方次第じゃないの!?」って思う方もいるかもしれませんが、、これは創傷治療を学んだ医師にとっては常識です。
なので繰り返しになるんですが、「たかが目頭切開」と思わずに、きちんとベテラン先生にお願いしましょうね。