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豊胸手術をすると乳がん検診ができない?豊胸と乳がんの関係性とは

2022年05月24日

豊胸手術をすると乳がん検診ができない?豊胸と乳がんの関係性とは

豊胸手術を検討されている方の中には、「豊胸すると乳がん検診が受けられなくなる」と聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。

また、豊胸したことがきっかけで乳がんを発症するリスクが高くなるという話もよく聞くため、豊胸したくても勇気が出ない方もいると思います。

そこでこの記事では、豊胸手術後に乳がん検診を受けることは可能なのかということや、豊胸手術と乳がんの関係性などについて解説していきます。

豊胸手術と乳がんにはどんな関係性がある?

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豊胸手術をすると乳がんを発症するリスクが高くなるという話がありますが、豊胸と乳がんにはどのような関係性があるのでしょうか?

豊胸しているかどうかに関わらず、乳がんのリスクを高める要因がいくつか存在します。わかりやすいものの中で例を挙げると以下のようなリスク因子が挙げられます。

・家族に乳がんにかかった人がいる
・アルコールをよく飲む
・タバコを吸う習慣がある
・出産、授乳の経験がない など

では、実際に豊胸手術をした場合、乳がんを発症するリスクは高くなるのでしょうか?

豊胸手術をすると乳がんを発症するリスクが高まる?

豊胸手術をすると乳がん発症リスクが高まると話題になったことがありますが、実際のところは豊胸手術によって乳がんを発症するリスクが高まるケースはほとんどありません

シリコンバッグ豊胸をすると乳がん発症リスクが高まるといったことが過去に話題になったことがありますが、その後の研究でこのことは否定されています。世界で主流となっているシリコンバッグ豊胸、脂肪注入による豊胸、ハイブリッド豊胸は乳がんのリスクを上げないというのが現時点での結論となっています。

しかし、豊胸と乳がんは全く関係がないわけではなく、豊胸手術を受けたことで、乳がん検診や自己検診に影響が出ることがあります。

他にも、人によっては豊胸していることを人に知られたくないという理由で、乳がん検診を受けるのを避ける方も少なくないため、乳がん発見が遅れるリスクが高まります。

豊胸手術後に乳がん検診を受けないと乳がんの死亡率を高めてしまう

日本人は、欧米人と比べると乳がんにかかりにくいといわれていますが、日本人女性の乳癌罹患率は近年増加傾向にあり、11人に1人は乳がんを発症するという統計もあります。

乳がんを早い段階で発見できなかった場合、乳房のみならず命を失う危険性もあるため、豊胸手術後もきちんと定期検診を受けて乳がんにかかっていないか確認することが大切になります。豊胸を知られたくない理由で乳がん検診を怠ってしまうと乳がんの発見が遅れてしまう可能性があります。

豊胸手術によって乳がんのしこりが見つけづらくなること以外にも、豊胸を知られたくない理由で乳がん検診を怠ってしまうと乳がんによる死亡率を高めてしまいかねません。

また、乳がんの早期発見のために自己健診も勧められています。自己検診をして何か違和感があった場合は、そのまま放置せずできるだけ早くクリニックで乳がん検診を受けましょう。

「乳がんを早期発見するために」

豊胸手術後に乳がん検診を受けることは可能?

乳がん検査をする女性

豊胸手術を受けると乳がん検診が受けられなくなると聞いたことがある方もいると思いますが、実際のところはどうなのでしょうか?

ここからは、豊胸手術後に乳がん検診を受けることは可能なのか、豊胸手術後の乳がん検診に対する心構えについてお話していきます。

豊胸手術を受けていても乳がん検診は可能

まず、豊胸手術後に乳がん検診は受けられるのかという点ですが、クリニックによって対応していないところはあるものの基本的には可能です。

念のため、乳がん検診を受ける際は、来院予定のクリニックで対応しているかどうかを事前に確認するようにしましょう。

乳がん検診前の問診は正確に答えることが大切

乳がん検診を行う前に、問診で豊胸手術を受けているかどうか聞かれるケースが多いですが、これは乳房に挿入してあるシリコンバッグの破損を回避するためや、ヒアルロン酸豊胸や脂肪注入による検査結果への影響を考慮するためです。

マンモグラフィー検査は、乳房を挟み込んで強い圧力をかけて行うため、シリコンバッグが入っているとその圧力で破損してしまうケースがあります。

もちろんシリコンバッグ挿入による豊胸でも、検査技師の技術や知識によってはマンモグラフィー検査を受けられることもあり、受けられないとしてもエコー検査など別の方法で検査する場合がほとんどです。

豊胸手術後は定期的に乳がん検診を受けよう

豊胸手術を受ける前に1度乳がん検診を受けておくのがおすすめですが、術後も必ず乳がん検診を受けましょう

乳がんは、早期発見することで死亡率を下げられる病気のため、がんを小さいうちに見つけることができれば、命だけでなく乳房を失うリスクも低減できます。

また、シリコンバッグ挿入による豊胸をしている場合、定期的に乳がん検診を受けることでシリコンバッグの破損を見つける機会にもなるため、最低でも2年に1回のペースで検査すると良いです。

受けた豊胸手術によって乳がん検診の方法が変わる?

船の上でビキニを着て遊ぶ女性

豊胸手術の方法によっては乳がん検診を断っているクリニックもあるため、ご自身の豊胸に合った乳がん検診を受ける必要があります。

ここからは、乳がん検診に対応しているクリニックで主に行っている検診方法について確認していきましょう。

乳がん検診の方法①マンモグラフィー

ポピュラーな乳がん検診の方法であるマンモグラフィー検査は、撮影台に乗せた乳房を透明な板で挟み込んで圧迫し、さまざまな角度からレントゲン写真を撮影して検査する方法で乳がんの早期発見に効果的な検査方法とされています。

シリコンバッグ豊胸などの後もこの検査を受けることができますが、日本ではシリコンバッグ豊胸後のマンモグラフィーの技術や知識を持っている施設が少ないため現実的にマンモグラフィーでの検査を受けることが難しい状況となっております。

また、シリコンバッグ豊胸後のマンモグラフィーの珍しい合併症としてシリコンバッグの破損もあります。以下記事ではシリコンバッグ豊胸とマンモグラフィー検査について説明してあります。

「シリコンバッグ豊胸とマンモグラフィー検査」

マンモグラフィー検査が難しいと判断された場合は、次にご紹介するエコーやMRIを用いた乳がん検診を行うケースがほとんどです。

乳がん検診の方法②エコー

マンモグラフィー検査の場合、シリコンバッグが破損してしまう恐れがありますが、超音波エコーによる検査であればシリコンバッグを破損させる心配がありません

エコー検査は乳がん検診としても役立つ方法ですが、シリコンバッグが破損していないかということや、内容物が漏れていないかといったことの確認も同時にできる方法です。

また、胸を挟み込んでレントゲン撮影するマンモグラフィー検査と比べると痛みもない点も特徴となっています。

乳がん検診の方法③MRI

最近では、造影剤を使用せず放射線被曝もないMRIを用いた乳がん検診が増えており、マンモグラフィー検査では死角だった乳房の奥や脇の下まで確認することが可能です。

一般的なマンモグラフィー検査のように乳房を挟み込む必要がないため痛みがなく、Tシャツなど薄手の服を着たまま検査を受けられる点もメリットといえるでしょう。

MRIによる乳がん検診の場合、検査にかかる時間はおよそ20~30分と短いため、時間的・体力的な負担もそれほどかかりません

新しいMotivaのインプラントには患者さんの安全のため、Q INSIDE®︎と呼ばれるチップが入っているものがあります。このチップによってインプラントそれぞれのシリアルナンバーのようなものを確認できます(2022年8月現在、日本国内でこのシリアルナンバーを確認できる施設はありません)。

このチップは金属ですが、特殊な出力のMRI以外は問題なくMRI検査を受けることができます。MRI撮影の仕方やチップがもたらすMRI画像の解釈の仕方については次のサイトにまとめられています。

「MRI撮影の方法やチップについて」

豊胸手術を受ける前に認識しておきたい「BIA-ALCL」とは?

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BIA-ALCL(ブレスト・インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫)とは、シリコンバッグ挿入による豊胸手術を受けた方に非常に稀に生じる悪性リンパ腫のことです。

BIA-ALCLは悪性リンパ腫ではありますが、早期発見さえできればシリコンバッグの除去と周囲の皮膜除去を行うことで治癒を目指せるため化学療法・放射線療法は不要とされています。

しかし、早期発見できず治療が遅れてしまったことが原因で死亡したというケースも報告されているため、豊胸手術後の定期的な乳がん検診・インプラントの状態確認が非常に大切です。

豊胸手術と乳がん検診の関係性まとめ

豊胸手術をすると乳がんを発症するという噂がありますが、実際はシリコンバッグ豊胸や脂肪注入による豊胸・ハイブリッド豊胸などの豊胸手術が起因となって乳がんを発症することはないとされています。

しかし、人によっては検査技師に豊胸していることがバレるのが嫌で乳がん検診を全く受けないというケースもあり、その結果乳がんに気づかず治療が遅れてしまうこともあります。

豊胸手術後は乳がん検診ができなくなるとも噂されていますが、豊胸手術を受けていたとしても乳がん検診は問題なく受けられます。大事なことは豊胸手術したことをきちんと申告し、適切な検査を適切な期間で受けることです。

定期的な検診はシリコンバッグ豊胸によって極々稀に起きる可能性のあるBIA-ALCLの早期発見やシリコンバッグ破損の発見にもつながるので豊胸手術後も定期的な検診をおすすめします。

日本形成外科学会認定専門医 医師 佐々木 翔一

【監修者】

日本形成外科学会認定専門医

佐々木 翔一

学生時代にミネソタ大学留学にて形成外科に魅せられ、形成外科医になることを決意。

初期研修医終了後、獨協医科大学病院形成外科 形成外科に入局。
大学病院、関連病院に勤務し、先天奇形から眼周りの悩み、顔部外傷およびその再建など幅広い形成外科手術を手がけ、患者のQOL向上のために積極的に美容外科的要素を診療にとりいれていた。大学病院を退職後、老舗美容外科に勤務。塩崎医師の紹介で細井医師と出会う。学生・研修医時代にUnited States Medical Licensing Examination Step1から3まですべてに合格し、Educational Commission for Foreign Medical Graduatesを取得済。

英語での診察も可能です。