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COLUMN

コラム

フェイスリフトで失敗しないためにこれだけは知ってください!(3/3) Deep Planeって3種類あんねん

2024年08月24日

リフトアップの王様手術、フェイスリフト、に関するブログ。

前回の続きから。

このシリーズも今回で3本目。

1本目、2本目の記事を読んでいない方はこちらにリンクをおいておきますのでぜひ読んでください。


さて、今回はDeep Planeについて。

私が“Extended Deep Plane Face and Neck Lift”と言い始めてから徐々に“Deep Plane”という用語が日本でも広まってきたと思います。

今ではいろいろな術者がDeep Planeといっていますが“それ本当にDeep Plane?”と思われるようなものも見受けられるようになりました。

真面目にフェイスリフトをしている医師ならいざしれず、ただの流行り言葉に乗っかっているだけの医師で手術を受けたら失敗間違いなしです。

ということで最終回の今回は玉石混合の“Deep Plane”について勉強していきましょう。

まずは概要から。

Deep Planeの定義は3種類あります。

  • (広義の)Deep Plane
  • (狭義の)Deep Plane
  • (さらに狭義の)Deep Plane

①広義のDeep Plane

広義のdeep plane

まず、一番広い意味での“Deep Plane”についてです。

ここはフェイスリフトの神様の書いている教科書から引用を。

the term deep plane has since come to be used generically by most surgeons for any procedure where there is some kind of modification of the SMAS is performed
Aesthetic Plastic Surgery Video Atlas. Facelift with SMAS Flap. T. Marten

日本語に訳すと、“Deep Planeは何かしらSMASに手を加えているフェイスリフト”ということになります。

あら?と思われた方、正解です。

少しでもSMAS操作を加えていればそれだけでDeep Planeです。

なのでHigh SMAS、Low SMAS、SMASectomyなども全部“Deep Plane”ということになります。

なんだったらSMASの下を全く剥離せず、靱帯も触らないMACSリフトでも“Deep Plane”に含みそうな懐の深さを見せる定義です。

この定義があるので、私からみて「それ本当にDeep Plane?」と思うような手術でも“Deep Plane”で正しくなってしまうんですね。

恐るべし言葉の定義。

②狭義のDeep Plane

狭義のdeep plane

この辺りから私が指している“Deep Plane”となってきます。

顔の横から皮膚切開をした後、皮膚の下を進みます。

そして目尻から下顎角あたりを結んだラインあたりからSMASの下に入りさらに剥離を進めて、皮膚とSMASを一塊にしてリフトアップする…これが(狭義の)“Deep Plane”となります。

広義のDeep Planeと比べると、SMAS下の処理をきちっとしている、のは明らかです。

他のSMAS法などと比較するとメリットとしては

  • A. 中顔面への効果がある
  • B. たるみの近くでSMASを牽引できる
  • C. SMASと皮膚を一塊にして牽引できるので皮下組織が温存できる

となります。

最後の“C”についてはちょっとマニアックなテーマになります。

ここにこだわってやると結果を出すことは難しいのですが、こだわる意味はあるのです。

だいぶ変態的なこだわりなのでこれは余裕があれば別のコラムで書きたいと思います。

③さらに狭義のDeep Plane

さらに狭義のdeep plane

②と③の違いは非常に難しいです。

美容外科医に聞いてもきちんと答えられる人は少ないと思います。

というか論文の段階でもごちゃごちゃしています。

②の段階だとまだ2種類のDeep Planeが含まれていて

  • 中顔面において、表情筋をSMASに含めるDeep Plane
  • 中顔面において、表情筋をSMASに含めないDeep Plane

があります。

この中での後者、つまり、“中顔面において表情筋をSMASに含めないDeep Plane”がさらに狭義のDeep Planeになります。

私は両方のタイプで行っています。

その時の手術の組み合わせだったり、SMASの厚さだったり。

Deep Plane Faceliftとは|まとめ

deep planeまとめ

さて、まとめますと、Deep Plane Faceliftと一口に言っても

  • ①(広義の)Deep Plane
  • ②(狭義の)Deep Plane
  • ③(さらに狭義の)Deep Plane

の定義があり、①の定義が広すぎるのでフェイスリフト界隈が玉石混合のDeep Planeで溢れかえっている現状があります。

海外でも同様の問題は見られるようで警鐘を鳴らしている医師がいらっしゃいました。

“Deep Planeと言っているけどDeep Planeでないフェイスリフトを多く見受けられるようになった”と。

Deep Planeの恩恵が受けられるのは②、③のDeep Planeだけです。

流行りに乗ってDeep Planeと言いつつ、糸リフトでごかましている医師でフェイスリフトしたら失敗必至です。

さて、3部構成にしてお送りしたフェイスリフトのコラム記事お楽しみいただけましたでしょうか?

3部構成にしましたが、まだまだ語り足りない部分があるのでこれについては“番外編”があるとかないとか。

乞うご期待?

日本形成外科学会認定専門医 医師 佐々木 翔一

【監修者】

日本形成外科学会認定専門医

佐々木 翔一

学生時代にミネソタ大学留学にて形成外科に魅せられ、形成外科医になることを決意。

初期研修医終了後、獨協医科大学病院形成外科 形成外科に入局。
大学病院、関連病院に勤務し、先天奇形から眼周りの悩み、顔部外傷およびその再建など幅広い形成外科手術を手がけ、患者のQOL向上のために積極的に美容外科的要素を診療にとりいれていた。大学病院を退職後、老舗美容外科に勤務。塩崎医師の紹介で細井医師と出会う。学生・研修医時代にUnited States Medical Licensing Examination Step1から3まですべてに合格し、Educational Commission for Foreign Medical Graduatesを取得済。

英語での診察も可能です。