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COLUMN

コラム

オステオポール。プチ整形では済まされないそのダメージ

2022年12月03日

プチ整形では済まされないそのダメージ

鼻は顔の中心にあるものであり、顔の印象を決める上で大事なパーツでもあります。
「鼻につく」、「鼻が高い」など日本でも多くの鼻に関する慣用句がありますね。

さて、お顔の印象を決める大事なパーツですが、我々日本人の鼻は低く鼻先も丸くなっていることが多いのが悩みの種。鼻筋がしっかり通り、尖った鼻先をもつ西洋人へ憧れを抱く一つの要因になっているかもしれません。

鼻の整形にはいくつかの種類があります。思い切ったところまで行けば軟骨を組み替えるなど行う「手術」となりますが、それ以外にも「ヒアルロン酸注入」「オステオポール」「G-mesh(鼻の糸)」などが鼻の整形として挙げられます。

「オステオポール」はいわゆる“プチ整形”に含まれることが多いですが、本当にプチ整形と言っていいのか悩むくらい鼻へのダメージが大きい時があり、“危険”と主張している医師が一定数います。

今回はそんな“プチ整形”とは名ばかりの、ダメージの大きい「オステオポール」について掘り下げて書いていきます。

はじめに:オステオポールとは

オステオポールとは固有の商品名や手術名になります。
ポリカプロラクトン(PCL)という比較的長期間で吸収される物質で構成されており、これがボール状になったのがオステオポールと言われています。

類似するものとしては「オステオポア」「PCLボール」などがあり、最近ではボールではなくドーム状に形を改良した「PCLドーム」なるものも登場しています。

日本人は鼻先の高さが低いので、鼻先の皮膚の下にこのボールもしくはドームを入れてあげて鼻先を高くしてあげようという施術になります。

鼻の中の皮膚を切開して鼻先の皮膚の下へ挿入してあげるため、表面上は傷が見えず“プチ整形”に分類されることもあります。

オステオポールで作った鼻は本当に綺麗?

綺麗な顔立ちの女性

はじめに、鼻について理解しやすいように鼻の解剖について簡単に説明しましょう。

軟骨、皮膚、軟部組織、、、といきなり難しいことを言われてもイメージがつきにくいので、家、そしてその上にピンっと張った布がかかっている状態にたとえて説明していきます。

布の上から見た状態が鼻の外観になります。ここでは家が軟骨、ピンっと張った布が皮膚・軟部組織(脂肪など)だと思ってください。

家についてはさらに、中央にある柱が鼻中隔軟骨(鼻の穴を右と左に分けている軟骨)、屋根の部分がその他の軟骨だとお思いください。窓は鼻の穴となります。

鼻を家とそれを覆う布として模式図で表現したもの

図:鼻を家とそれを覆う布として模式図で表現したもの。

それではこのイメージでオステオポールでできる鼻の形を他の手術と比較して見てみましょう。

鼻の整形の代表格、鼻中隔延長。これは家でいうところの柱を高くしてあげる手術になります。家自体が高くなりますので見た目もいい感じになります。窓(鼻の穴)も鼻先が高くなった分、自然と変化します。

鼻中隔延長を模式図で表現したもの

図:鼻中隔延長を模式図で表現したもの。

その点、オステオポール。これは家の上にものを置いただけ、、、当然家自体は高くなる訳ではなく、屋根に見えるところが大きくなっただけです。

下から見上げた鼻でこれは顕著で、特に鼻の穴の形と鼻全体の形のアンバランスさが目立ちます、、、これ、きれいでしょうか。。?

オステオポールで鼻先を高くした状態を模式図で表現したもの

図:オステオポールで鼻先を高くした状態を模式図で表現したもの。

オステオポールで負ったダメージは難易度の高い手術でしか治せない

崩壊した家

表面上見えない傷から鼻先を高くできるプチ整形、というと聞こえはいいですがリスクもデメリットもあります。

ここでは3つのデメリットについて解説します。

ずれる

ニコッと笑う時に鼻先を見てください。結構動きますよね。
鼻先は固定されているものではなく表情とともに動く場所です。

鼻先の皮膚の下に入れるのがオステオポールですが、このオステオポールも表情の影響を多分に受けます

オステオポールは自身の細胞ではないので周囲の細胞と馴染むまで時間がかかり、その間にずれる可能性もあります。

皮膚に負担がかかる

鼻先を覆っているもの、それは皮膚です。この皮膚の下に入れて鼻先を高くするのがオステオ ポールですが、非常に硬いので皮膚に負担がかかります。負担がかかると皮膚は赤くなり、徐々に薄くなってしまいます。

先ほど載せた模式図でいうと、家の上にピンっと張った布のようなものがオステオポールと喧嘩して伸ばされ、いずれは破れてしまう、といった形です。

オステオポールが鼻先の皮膚を貫いた状態を模式図で表現したもの

図:オステオポールが鼻先の皮膚を貫いた状態を模式図で表現したもの。

軟骨がひしゃげる

オステオポールを覆うものは皮膚ですが、支えるものは何でしょうか。
それは軟骨になります。

軟骨というと少し固そうな印象を受けますが、アジア人の鼻の軟骨は薄く柔らかいことが多いため、オステオポールを鼻先に入れるとそれを支えきれなくなって変形してしまいます。

模式図でいうと更に直感的にその怖さがわかると思います。

先ほど書いたように家は軟骨。。。家が崩壊してしまうんですよね。。。

オステオポールにより鼻の軟骨が変形した状態を模式図で表現したもの

図:オステオポールにより鼻の軟骨が変形した状態を模式図で表現したもの。

実際の症例写真

それでは実際にオステオポールによる施術を受けて、その後当院で手術をされた方のお写真を見ていきましょう。

まずはお一人目。斜めと横からのお写真です。

オステオポールの症例写真

ぱっと見悪くなさそうですが、下から見上げると…

オステオポールの症例写真

鼻の頭に向かって右へずれていますね。鼻先もなんだかこんもりしています(赤線:正中)。
鼻先がこんもりしている理由は↑で説明したように、屋根の上にただ塊を置いてきたからなんです。

実際に手術で鼻の内部構造を見てみると…不思議な形をしたオステオポールが写真向かって右にずれていました。

オステオポールの症例写真

(青:オステオポール 赤:正中)

この方はオステオポールを取り除いてその後に鼻尖形成+耳介軟骨移植を行ってお鼻の形を整えています。鼻尖形成+耳介軟骨は屋根の形を整えてあげて足りない部分に瓦を足してきてあげるイメージとなります。

下は術後3か月のお写真。斜め、正面はもちろん、下から見た鼻の形も綺麗な形になっています。

オステオポールの症例写真
オステオポールの症例写真

さて、お次の方はオステオポールが飛び出てきそうになっていた方。
まずは正面から。

オステオポールの症例写真

見ると一部皮膚が赤くなって、オステオポールが飛び出そうになっています。(赤丸)。
横から見てもなんだか不自然に尖った鼻になっています。

オステオポールの症例写真

下から見ても鼻先がこんもりしている状態でした。

オステオポールの症例写真

この方、急いで手術をしましたが、鼻の中身を見るとこの通り。

オステオポールの症例写真

オステオポールが軟骨にのめりこんでいます(赤丸)。

この方はオステオポールがめり込んで変形した鼻尖の軟骨を修復し、耳介軟骨を移植、薄くなった皮膚には側頭筋膜を移植して補修をしています。

オステオポールの症例写真
オステオポールの症例写真

鼻先の赤みや不自然は尖りはなくなり、下から見上げた鼻の形も綺麗になりましたね。

なぜ“危険”と言われるのに取り扱うクリニックが多いのか

オペ室で患者さんをのぞき込むドクターたち

一定数“危険”という医師がいるのに使用しているクリニックが多いのはなぜでしょう?

これは
・手間がかからない
・「切らない鼻整形」と聞こえがよく集客しやすい
・変化が出たように見えやすい

からにつきます。

実際の治療は鼻の穴の中に小さい切開をして鼻先に既製品を入れてくるだけの手術です。
手間はかからず、目に見えるところを「切らない」ので聞こえもいいですね。

また、硬いものを入れるので、皮膚が厚くて変化が出にくい日本人の鼻でも変化が見えやすいです。(この変化は先ほど書いた通り、周囲の組織が変形するまでの短期間の間だけなのと、限られた角度から見た綺麗さしか出せないのですが。。。)

意見すると見栄えが良く、聞こえもよくて、更には時間当たりの売上もいい。クリニック側にはメリットしかないので扱うクリニックが多いんですね。

困ったものです。

まとめ

さて、今回はオステオポールについての危険性をまとめさせていただきました。

最後にオステオポールを真面目に鼻整形に取り入れている日本では超絶珍しい美容整形外科の方も中にはいるかもしれないので、弁明を付け加えると、オステオポールもしくはその類似商品自体は悪いものではなく、鼻整形の中でも軟骨の代わりになるのでは?と研究を続けられているものです。

実際に論文も出ていますしね。

きちんとした使用では耳介軟骨やら筋膜やらと併用されているので、日本の多くの美容外科と全くと言っていいほど異なる使い方をされていますので、日本できちんとオステオポールを使っている医師に出会う可能性は皆無!と思っていただいたほうが無難でしょう。

アマソラクリニックではオステオポール術後の鼻整形も多く手がけています。
オステオポールを入れて心配な方、オステオポールを入れても満足の結果が得られなかったかた、一度カウンセリングにお越しください。

日本形成外科学会認定専門医 医師 佐々木 翔一

【監修者】

日本形成外科学会認定専門医

佐々木 翔一

学生時代にミネソタ大学留学にて形成外科に魅せられ、形成外科医になることを決意。

初期研修医終了後、獨協医科大学病院形成外科 形成外科に入局。
大学病院、関連病院に勤務し、先天奇形から眼周りの悩み、顔部外傷およびその再建など幅広い形成外科手術を手がけ、患者のQOL向上のために積極的に美容外科的要素を診療にとりいれていた。大学病院を退職後、老舗美容外科に勤務。塩崎医師の紹介で細井医師と出会う。学生・研修医時代にUnited States Medical Licensing Examination Step1から3まですべてに合格し、Educational Commission for Foreign Medical Graduatesを取得済。

英語での診察も可能です。