近年、SNSや広告などで『クマ取り』という言葉を耳にする機会が増えたと思います。
世界的に見ても『クマ』というものは美容外科として需要の高い手術になっていますが、一概に『クマ取り』といってもいくつか種類があるため、自分には何が適しているのか分からない方がほとんどだと思います。
今回は、主に手術で改善するクマ治療の種類について紹介しようと思います。
下眼瞼脱脂術(切らないクマ取り)
一般的に『切らないクマ取り』といわれるものはこの施術となります。
涙袋の膨らみと連続する、もしくはその下に存在する膨らみ(目袋)がクマの原因の一つとなっています。
膨らみの原因は医学的に「眼窩脂肪」(下図の黄色い部分、写真では赤マルの部分)とよばれています。膨らみによって影ができクマ(俗称:影クマ、黒クマ)ができます。
写真の青線部分はtear trough(正確にはもっと細かく区別されますが)と呼ばれる溝となります。
この膨らみの原因となる眼窩脂肪を除去して平坦にし、影をなくすのが下眼瞼脱脂術です。
この手術では皮膚を切開せず、まぶたの裏側(結膜)から脂肪を除去します。
このように皮膚を切らないため「切らないクマ取り」と言われています(下図は手術の模式図になります)。
下眼瞼脱脂術(切らないクマ取り)が適している方
比較的若年者で目袋の膨らみが目立ち、その下の窪みと皮膚のたるみが強くない方が最も良い適応です。
後に書きますが、膨らみの下の窪みが強い方ですと、脱脂術を行うことにより目の下が全体的に窪んでしまうことがあります。また、皮膚のたるみが強い方では皮膚の小ジワが増えたり、たるみが余計に気になる場合があります。
リスク:イメージ違い、感染、内反など
料金:当院HP参照
脂肪注入、ヒアルロン酸注入
クマ取りは脂肪注入やヒアルロン酸注入によっても対応することが可能です。
それぞれにメリットやデメリットはありますが、ヒアルロン酸を注入して行う方法は1番容易ではあります。
脂肪注入
先ほど書いたように影クマは眼窩脂肪の膨らみによりできてしまいますが、それと同時に頬部 (膨らみの下)の脂肪が減少して凹んでいるためクマが目立っている場合があります。
この凹みを解消する方法の一つが脂肪注入となります。
ご自身の太ももやお腹などから脂肪を少量採取して細かく加工し、目の下の凹みに注入する方法です。
通常は脱脂術と同時に行われることが多いですが、脂肪注入単独での治療や脱脂術後に気になった目の下の凹みへの追加注入も可能です。
また、皮膚が薄いために皮膚から目まわりの筋肉が透けて見えてできているクマ(俗称:紫ぐま)や皮膚の小皺に対しても脂肪注入は有効な手段となります。この時使用する脂肪は凹みに注入するよりもさらに細かく処理したナノファットを使用します。
脂肪注入する部位は次の通りです。
赤線部分が脱脂して膨らみを取る部分、青線部分が脂肪を注入する部分です。
青線部分では全体的に深めに注入してボリュームを出します。赤線部分では紫グマや皮膚の小シワの改善目的に比較的浅めに脂肪を注入します。
リスク:イメージ違い、しこり、塞栓など
料金:当院HP参照
脂肪注入が適している方
紫グマが目立つ方や目の下の溝が目立つ方、頬のボリュームが少なくなっている方が適応となります。
また、以前に脱脂術をされている方で術後に皮膚のシワやたるみ、目の下の窪みが気になる方でも後から脂肪注入することも可能です。
ヒアルロン酸注入
適応としては脂肪注入とそこまで変わりませんが、ヒアルロン酸は目の下の浅い部分(脂肪注入の写真での赤丸)への注入は不向きとなっています。つまり、紫グマへの注入は不向きです。
これは浅い部分に入れすぎてしまうと、笑った際にヒアルロン酸の形が浮き出てしまう可能性があるのと、チンダル現象といって皮膚が青白く透けてしまうことがあるからです。
また、これはヒアルロン酸のメリットでもありデメリットでもあるのですが、いずれは吸収されてしまいます。
いずれ吸収されてしまうので注入後に気に入らなければ溶かすか、吸収されるのを待てば良いのでやり直しが効きます。
ここが脂肪注入にはないメリットです。
また一生残るわけではないので、ご年齢に応じて変化を出すことも可能です。
脂肪移動術(表ハムラ法、裏ハムラ法)
クマができる要因は眼窩脂肪の膨らみと頬のボリューム不足が原因、と先程書きましたが、この膨らみをボリューム不足部位に移動してあげる、それがハムラ法になります。
このハムラ法では脂肪を移動させるので脂肪の無駄がないことがメリットとして挙げられますが、それ以外にも大きなメリットがあります。
目まわりの構造についてもう少し細かく見ていくと、目の下の膨らみと凹みの間には靭帯という硬いものがあります(下図の黒い部分)。この靭帯は骨から皮膚までのつっぱりとなっており、このつっぱりを改善することもクマ治療では非常に有意義なものとなります。
つっぱりは脂肪注入の時でもある程度は緩和することができますが、ハムラ法ではこの靭帯を直接処理することができるのでつっぱり解除としては非常に効果が高くなります。
この脂肪移動術を
・まぶたの表側(皮膚側)から行うのが表ハムラ法
・まぶたの裏側(結膜側)から行うのが裏ハムラ法
と呼ばれています。
表ハムラ
以下の図は簡単な表ハムラ法の手術模式図になります。
皮膚に傷はついてしまいますが、皮膚のたるみや小皺も同時に改善できることがメリットになっております。
写真は表ハムラ法を受けらた方の術前、術直後の写真になります。
青線部分の皮膚を切開して余分な皮膚を切除し、赤線部分の脂肪を溝の部位に移動させて内部で固定します。
表ハムラが適している方
比較的年配者で目袋の膨らみやその下の溝が深い方、さらに皮膚のたるみやシワが目立つような方が良い適応です。
皮膚のたるみがあまりない若年者では裏ハムラ法が適しています。
リスク:イメージ違い、傷跡、外反など
料金:当院HP参照
裏ハムラ法
表ハムラ法との違いは、皮膚を切らずに瞼の裏側(結膜)を切開する点です。
それ以外の内部の操作はほぼ同じです。
皮膚に傷がつかないことがメリットとなります。
皮膚を切開しないためたるみや小ジワの改善効果はありませんが、自然な変化を出すことには優れてます。
(下図)
裏ハムラ法が適している方
目袋の膨らみがあり、その下の溝がある程度目立つ方で、さらに皮膚のたるみが軽度の方は良い適応です。
比較的若年の方には適応となる場合が多いです。
年配の方でも表に傷ができるのがためらわれる方や、極端な若返り効果を希望されない方にも裏ハムラ法は適応となります。
リスク:イメージ違い、感染、内反など
料金:当院HP参照
クマ取りの手術方法の違い ❘ まとめ
今回は、クマの解剖やその治療法(下眼瞼脱脂術、脂肪注入・ヒアルロン酸注入、表ハムラ法、裏ハムラ法)について解説しました。
クマに関してはまだまだ種類があり、それぞれの種類に対しての治療方法があります。
また、 注入系の治療としてはベビーコラーゲンやスネコスなどの治療もありますが、また機会がありましたらご説明させていただきます。
今回は主に手術で改善するクマに関してご紹介させていただきました。
クマ治療の適応、選択に関しては患者様ご自身ではなかなか難しいかと思います。
当院では実際にお目元の状態を診察した上で、最も適した治療方法をご提案させていただいております。
まずはカウンセリングからだけでもお待ちしております。